カスタマーエクスペリエンス(CX)とは?
顧客との関係性を深化させる施策と注意点を解説
更新:2022年02月14日(月)| 公開:2022年02月14日(月)| CX
「価格が安い」「認知されている」だけでは、継続的に自社の商品を購入してもらえるかどうか分かりません。競合がより低価格な商品を発売すれば、情報が拡散され顧客の興味が移ってしまう可能性があるためです。そこで重要となるのが、自社と顧客のあらゆる接点に置いて顧客が得られる体験や価値(カスタマーエクスペリエンス)です。
今回は、その概要やメリット、向上させるために行うべきポイントについてお伝えします。
目次
カスタマーエクスペリエンスとは?
カスタマーエクスペリエンスとはどのようなものなのか、その概要に加えて、多くの企業が現在カスタマーエクスペリエンスを重視している理由について説明します。
カスタマーエクスペリエンスの概要
カスタマーエクスペリエンスとは、企業と顧客のあらゆる接点において顧客が得る体験や価値を指すものです。日本語では、顧客体験や顧客体験価値と訳されます。
顧客との接点とは、「店頭での接客」「カスタマーサービス」「問い合わせ対応」「Webサイトや商品購入後のアフターフォロー」などが例として挙げられ、オフライン・オンラインは問いません。認知から購入、アフターフォローまでの過程で顧客が得るすべての体験や価値がカスタマーエクスペリエンスです。
良質な体験、価値の提供といえば、低価格や高機能を実現させればよいと考える場合もあるでしょう。しかし、それは企業視点での考えであり、顧客が求めるごく一部の体験、価値でしかありません。カスタマーエクスペリエンスは、「顧客とのコミュニケーション」「トラブル時の対応」「店舗の雰囲気」などで生じる、顧客の感情的な体験も含まれます。
多くの企業がカスタマーエクスペリエンスを重視する理由
なぜ多くの企業がカスタマーエクスペリエンスを重視しているのか、その主な理由は次の2点です。
商品のコモディティ化
技術の進化もあり、多くの業種で商品やサービスのコモディティ化が進んでいます。その結果、価格や商品の質だけで勝負しても、すぐに別企業が新たな低価格高品質の商品を出し、顧客がそちらに流れてしまうリスクがあります。これに対抗するためには、さらに低価格高品質の商品を出さざるを得なくなり、最終的には大きな資本を持つ大手企業には勝てません。
この状況から抜け出し、生き残っていくためには、商品の価格や質以外の部分でいかに良質な体験、価値を提供できるかが重要となります。
インターネットの普及
インターネットの普及により、顧客はいつでもどこでも自分の好きなタイミングで自身にとって必要な情報を選んで入手することが可能です。また、SNSや口コミサイトによる顧客側からの情報発信も容易となりました。その結果、顧客は企業からの一方的な情報発信に頼る必要がなくなっています。
そこで、企業側は顧客が求める情報をいつでも提供できるようにしておかなくてはなりません。それが競合との差別化につながり、自社を選択してもらう重要な要素となるため、多くの企業がカスタマーエクスペリエンスを重視しているのです。
良質なカスタマーエクスペリエンスを提供するメリット
カスタマーエクスペリエンスは重要だとはいえ、企業側から見れば手間のかかる作業が伴います。それでも多くの企業が重視しているのは次のようなメリットがあるからです。
顧客満足度の向上
顧客が想像する以上の体験を提供できれば、顧客満足度が向上し、それが顧客離れ抑制につながります。
コストを抑えたマーケティング活動が可能になる
一般的にマーケティングの世界では1対5の法則があるといわれています。これは新規顧客の獲得コストは既存顧客の維持コストの5倍かかるというものです。良質なカスタマーエクスペリエンスを提供できるようになり、既存顧客からの売り上げ維持・増加が実現すれば、コスト軽減と新規顧客獲得のための予算確保につながります。
さらに、既存顧客が支持者となり自社商品の情報を拡散するようになれば、潜在顧客の集客が実現し、結果としてコストを軽減しながら新規顧客獲得の可能性も高まるでしょう。
良質なカスタマーエクスペリエンスを提供するためには?
顧客に良質な体験や価値を感じてもらうために企業がすべきことはいくつもありますが、そのなかでも重要なことは次の2点です。
顧客データの統合
「オンラインショップでは何度も商品を購入しているのに、実店舗では初めての顧客として扱われてしまった。」顧客にそう感じさせてしまえば、それは良質な体験にはつながらないでしょう。顧客にとっては、オンラインもオフラインも関係ありません。逆に、オンラインショップで得ている体験を実店舗でも得られるようにすれば、それは良質なカスタマーエクスペリエンスの提供につながります。
そのための施策がオンラインとオフラインデータの統合です。オンラインとオフラインでの顧客行動の全体像を把握することで、常に良質な顧客体験の提供が可能となります。
顧客体験を調査・分析する
顧客と自社が関わるすべての接点を洗い出して、カスタマージャーニーマップを作成します。各タッチポイントで顧客が何に困っているか、何を求めているかを可視化させ、それぞれのタッチポイントで自社が提供できる施策を策定・共有します。これにより、どこにいても、誰であっても、すべての接点で良質な顧客体験を提供できる体制が整えられるでしょう。
以上より、良質なカスタマーエクスペリエンスを提供するには、顧客データを有効活用して顧客理解を深めることが重要ということが分かります。
自社で保有している顧客データをマーケティングに効果的に活用する方法を「顧客データを上手くマーケティングに活用できない理由と効果的な活用方法のポイント」で紹介していますので、ぜひご覧ください。
良質なカスタマーエクスペリエンスを提供するための注意点
良質なカスタマーエクスペリエンスの提供によって顧客満足度を向上させるためには、これまでのマーケティングについて考え直さなければならない点があります。具体的には次のような点に注意する必要があるでしょう。
顧客理解を適切に行う
企業都合の情報を企業都合のタイミングで発信するのであれば、良質なカスタマーエクスペリエンスを提供しているとは言い難いでしょう。顧客がいつ何を求め、何に不満に感じているかを理解し、各接点での顧客行動を集約・分析していかなければなりません。
部署間の連携を密にする
営業部、店舗、マーケティング部、カスタマーセンターなど、部署によって保持している顧客データや顧客との関わり方が異なっていると、適切な対応ができません。社内では別々の部署であり、関わりが少ないように見えても、顧客から見れば同じ会社です。そのため、部署間での連携を密にし、全てのタッチポイントで同じ品質の価値・体験を提供できる体制づくりが欠かせません。
効果測定を実施して改善をする
どのような施策も、実施したあとに何の検証もしなければ、それが顧客にとって良い体験であったのか、良い価値の提供ができたのかが分かりません。そのため、顧客満足度調査やNPS®(ネット・プロモーター・スコア)などを行い、その結果をもとに施策の改善を行う必要があります。
常に顧客の視点を意識して体験価値向上の実現を目指すことが重要
良質なカスタマーエクスペリエンスの提供を行うために、顧客視点ですべての購買行動を可視化し、各接点で自社ができることを考えましょう。
企業側の都合で見せたい情報を見せたいタイミングで提供しても、良質な顧客体験にはつながりません。常に顧客の求める情報を、顧客が求めるタイミングで適切に提供することが良質な顧客体験につながります。
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