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CRM×MA×ISRで実践する新規顧客開拓と商談機会創出編:コニカミノルタのリアルなBtoBマーケ実践ストーリー4

更新:2022年08月29日(月)| 公開:2022年08月29日(月)| Webサイト制作

コニカミノルタのリアルなBtoBマーケ実践ストーリー4:CRM×MA×ISRで実践する新規顧客開拓と商談機会創出編

コニカミノルタのマーケティングサービス事業部のマーケティングチームは2022年の4月で5年目を迎えました。ほんの5年前、ほぼ何もない状態で3名でチームを立ち上げ、3年6ヶ月で創出した総パイプライン(売り上げ見込みの金額)の割合は25.6%UP。チームメンバーも16名になり、成熟期を迎えようとしています。

とはいえ、ここまでの道のりはそうたやすいものではなく、試行錯誤の連続。悩んで、実践して、失敗して、またトライして・・・の繰り返しでここまでやってきました。

私たちのリアルな実践ストーリー第4回目はリードクオリファイ・リードナーチャリング・トスアップ・リードリサイクルについて、考え方や具体的な取り組みをお届けします。

Section1:デジタルマーケティング発展期の課題

 今回は、獲得したリードを評価する「リードクオリファイ」、
ターゲットをフォロー対象に引き上げる「リードナーチャリング」、
営業に商談機会としてパスする「トスアップ」、そして失注したリードへ
再アプローチする「リードリサイクル」について、それぞれどのような
考え方で取り組めばいいのかお伝えします。

インサイドセールスは2つの意味で重要なポジション

デジタルマーケティング強化から3年目、私たちが抱えた課題はインサイドセールスとMA担当者がとにかく忙しいこと。とにかく担当業務が多いので、施策が増えれば増えるほど、インサイドセールスとMA担当者は忙殺されていきました。

そこで、インサイドセールスとオペレーターの増員で運営体制を強化しました。特にインサイドセールスは3名体制にし、事業部マーケティング組織は6名から9名体制となりました。

インサイドセールスは「リードを循環させる」ために必要な存在です。得られたリードの大半は「今すぐ顧客」ではありません。商品に興味があって情報を集めてはいても、今すぐ買おうと思ってはいない顧客が8割。とはいえ、いつかは今すぐ顧客になる可能性があるわけですから、人物情報や行動履歴などのデータをしっかり管理して、継続的かつ適切なコミュニケーションをとり続ける必要があります。

しかし、ひとりの営業が「今すぐ顧客」と「未来の顧客」の両方を追い続けるのは至難の技。そこで、役割分担をして、インサイドセールスが「未来の顧客」を担当し、営業は優先度が高い「今すぐ顧客」に注力できるようにするのです。

インサイドセールスの3つのかたち

インサイドセールスには3つの型があります。

どれが正解というわけではなく、自社に合わせた最適なかたちを選択します。ターゲット群が決まっていてこれからリードを獲得していこうという段階ならBDR、まだターゲット群は決まっていないが、これからセミナーを開催してリードを獲得していきたいのであればSDRに取り組むと良いです。

チームメンバーが9名に増えた時点で、私たちは「自社のインサイドセールスが担うべき役割はなにか」を整理し、こんなふうに考えました。

オンラインでの営業活動は営業と分担し、新規顧客開拓を目的としたアウトバウンドコールについてはパートナー企業に外注。インサイドセールスは引き渡されたリードについて、必要によっては複数回コミュニケーション(コールやメール)を図り、関係性を構築しながら商談化して営業に渡す役割を担います。

すべてのマーケティング活動を明確に役割分担する

リード創出、BDR、SDR、インサイドセールス、受注いずれも重要な活動ですから、抜け漏れなく行う必要があります。私たちは全体のマーケティングプランはマーケティングチームが企画・管理した上で、このように役割分担しています。

新規事業の顧客開拓はパートナーインサイドセールスが担当し、どんどんリードを獲得。獲得したリードのフォローは工数と時間がかかるので自社のインサイドセールスが担当し、これを引き継いで営業インサイドセールスが有効商談を創出し、営業へパスするという流れです。

Section2:データに基づくターゲティング

新規事業におけるマーケティングとセールスの課題

新規事業において、マーケティングチームが抱えていた課題には次のようなものがありました。

1.ターゲット顧客が絞りきれない

仮説・検証のサイクルが回しきれず、施策のPDCAサイクルを回すスピードも遅かった。

2.既存事業のハウスリスト活用が難しい

BtoBではなくBtoCだったため、リード獲得の方法がよくわからなかった。

3.インサイドセールスのリソースが足りない

商談数の確保と顧客の声を収集したくても自社のインサイドセールスのリソースは枯渇状態だった。

セールス側にも課題があり、商談経験が少ない事業だったので、顧客のニーズをヒアリングし、価値を訴求し、提案につなげていく商談シナリオがなかなか作れませんでした。

データ収集と仮説検証を繰り返して新顧客を開拓

山積みの課題を解決するために私たちが行ったのは「FORCASの活用」です。

FORCASは全国の約50万社のデータベースです。これをもとに、マーケティングチームとFORCASのカスタマーサクセスが協力し、一定の条件を定めてターゲットを決め、ターゲットリストを抽出しました。

このリストをもとに、インサイドセールスがコール。商談情報を営業がSales Cloud(SalesforcesのSFAプラットフォーム)に入力して、マーケティングチームとFORCASのカスタマーサクセスにフィードバック。フィードバックをもとに再度ターゲットを決め直し、ターゲットリストを抽出・・・というようにサイクルを回します。

FORCASを使うと、具体的な企業名でリスト化されるので、想定顧客とのズレがないか営業とすり合わせをしたり、ハウスリストの優先順位づけ(リードクオリファイ)したりするのにも役立ちます。ターゲットも市場ニーズも見えていないような新規事業でリードを獲得するには、こうした地道な作業が実は一番近道といえるかもしれません。

Section3:リードクオリファイについて

獲得したリードを評価してフォローすべきリードを決めるリードクオリファイ

リードクオリファイというのは、ハウスリストの全数の中から、ターゲットリードを見極めることをいいます。例えば、ハウスリスト100の中からターゲットリードを80選び出し、さらに、フォローすべきリードを30セレクトするというイメージです。この過程に、私たちはFORCASとSalesforceのMarketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)を導入しています。

具体的には、FORCASでターゲットリードを選び出し、FORCASデータを使ってAccount Engagement(旧Pardot)のグレード設定を行っています。Account Engagement(旧Pardot) のプロスペクト(リード)の評価基準にFORCASのデータを使い、注力する企業は「Tierアカウント」に設定するなどして、リードの評価、重みづけ(グレーディング)をします。

例えば、ウェビナーを開催する際には、事前に決めたセグメントの条件を基に、メール送信やリード登録を実行し、迅速なフォローを実現しています。

Section4:リードナーチャリングについて

フォローや商談のタイミングを掴むリードナーチャリング

リードナーチャリングについてはさまざまな考え方がありますが、当社では「施策やコンテンツを通して継続的にアプローチすることで得た顧客に関する具体的な情報を基に、フォローや商談機会打診を検討していく」ことをリードナーチャリングと定義しています。

ポイントは2つあります。

1.「プロセスを引き上げるための施策実行と検知

リードナーチャリングでは、お客様の検討段階に応じたコミュニケーションが大事です。段階的なコンバージョンポイントを設定することが重要になるので、マーケティング組織だけでなく、インサイドセールスや営業も巻き込みながらコンテンツを考えていきます。

2.「商談獲得や受注につなげるための顧客情報の収集」

フォローや商談のタイミングを掴むためには、顧客情報を集め続けなければなりません。そこで、フォーム通過の際やインサイドセールスによる架電時のヒアリングなどで顧客情報を集めておき、どのタイミングで営業側へ引き渡すかといったことをインサイドセールスと営業で事前に決めておきます。

リードナーチャリングには、情報資産の蓄積とそれを活用したコミュニケーションが重要です。私たちはSales cloudとAccount Engagement(旧Pardot)を利用して企業情報・取引情報・接点情報・商談情報などを一元化・蓄積していき、最適なコミュニケーションにつなげています。

こうした活動を続けていくと、これまでのログを基にして、既存リードのコミュニケーションを参考にしながら、新しく獲得したリードへの最適なコミュニケーションを考えることが可能になります。

インサイドセールスのKPI

私たちはインサイドセールスの活動を評価するために、次のようなKPIを設定しています。

このように定量的に可視化することで課題を把握しやすくなり、改善すべき指標が明確になります。一例を挙げると、こんな感じです。

これからインサイドセールスを立ち上げる方はこの図式を頭に入れて臨むことをおすすめします。

商談機会獲得率・有効商談化率・受注率改善のためにできること

1.FORCAS Sales導入

私たちは、顧客理解の質の向上と効率化を目的に「FORCAS Sales」を導入しています。

FORCAS Salesは、企業・業界・競合データが一目でわかるツールで、時間と工数を短縮してリッチな情報を収集し、トレンド収集や業界研究、スクリプト作成やコール前・商談前提案資料作成、アカウントプラン(営業戦略)作成、1on1などに活用できます。

2.インサイドセールスへのフィードバック

実際の音声を聞いてはじめて気づくことがたくさんありますから、実際のコール音声を聴きながら、一定の評価項目・基準に基づいてフィードバックを行うことが重要です。

3.リードとアクションの管理

リードナーチャリングを実行していくためには、リードのステータスを管理することと、次に誰がいつ何をするのかというアクション管理が非常に重要です。当社では、属人的な管理を防ぐために、それぞれのステータスの定義を明確にし、次回アクションの設定と管理を行っています。

4.トスアップの条件を決める

トスアップの条件はインサイドセールスと営業で決定し、適宜、見直しています。マーケティング施策に活かせるものでもあるので、マーケティングも積極的に関与します。

5.失注・Closeにしたリードや商談の循環をつくる

失注やCloseにした商談・リードは理由を明らかにして、営業がログとして残します。アクションの内容とタイミングを明確にしてリサイクルし、再度セールスへトスアップするためです。

例えば、他社に決まってしまったという場合は、失注理由を分析し、商談の単価や企業の業種・業態、企業規模やニーズ、他社の選定理由などを分析して、マーケティング施策に活かします。

6.条件を明文化し関係者間で合意・すり合わせを行う

状況に応じて適宜見直しをかけつつ、属性・行動・ヒアリング項目・失注/close理由の4軸で、リード創出からリサイクルを実行するために必要な条件を明文化して共有します。

Section5:パイプラインマネジメントについて

インサイドセールスと営業の活動データなどをあつめ、顧客データを一元管理できるSFA。大きなメリットは、パイプラインマネジメントが可能になる点です。パイプラインマネジメントとは、リードの獲得から受注までの流れや商談状況を可視化して管理することで、次のようなメリットがあります。

  1. SalesCloudに商談の状況を登録することで、あいまいな記憶に頼らず、商談を次のフェーズへと進めるための施策を考えられる。
  2. マネージャーは訪問すべき顧客や商談の単位でリソースが投下できているかを把握し、営業活動におけるボトルネックを特定し、リソースの投下先の選択・集中ができる。
  3. 顧客データに基づく戦略的な営業活動が実現できるようになる。

インサイドセールスがトスアップした商談の結果や、その後どのような成果に繋がったのかをマネジメント層も現場メンバーも確認することができます。

まとめ

今回のポイントは「データに基づく活動をする」「条件は明確に」「マーケティングチームは全体最適を目指す」の3つです。

1.「データに基づく活動をする」

インサイドセールスや営業の活動は、感覚ではなくデータに基づいて行うことが重要です。

2.「条件は明確に」

リードクオリファイやトスアップ、リサイクルの条件は、関係者間ですり合わせ・合意することが大切です。決めたルールは状況に応じて適宜見直しをかけます。

3.「マーケティングは全体最適を目指す」

マーケティングチームのミッションはリードを創出することですが、LTV最大化のためには、リード獲得から商談・受注に至るまでのサイクルを俯瞰でとらえて、インサイドセールスや営業が抱える課題解決にも力を注ぐことが必要です。

本コラムでご紹介したインサイドセールスや活用ツールの内容を含めた、BtoBマーケティングでおさえておくべきポイントをまとめた資料もぜひ合わせてご活用ください!

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